文庫Xは中身を隠して本を売る新戦略 客離れ進む書店の打開策になるか

中身が分からない本が売れている?

文庫X

盛岡市の書店「さわや書店フェザン店」のユニークな販売戦略が話題になっています。

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書店のおすすめしたい文庫本に手作りのカバーをかけ、本の装丁を見た目では分からなくし、タイトルも著者も一切お客さんには伏せた状態で店頭に陳列したところ驚異的な売上を記録しているといいます。

このタイトルも著者も分からない状態で店頭に並ぶ文庫本は「文庫X」として今や同書店の最大の注目コンテンツとなっています。

文庫Xとは何か?

まずこの「文庫X」は特別な作品ではなく、従来から流通している作品です。謎の作品「文庫X」に姿を変える作品というのは書店員が「心から誰かにおすすめしたい」という情熱に適ったタイトルです。

一つや二つではなく複数の作品が「文庫X」として取り扱われているといいます。「X」への変身のために出版元とも連携を取り、従来のカバーからオリジナルのカバーにチェンジして店内の特設コーナーに陳列されます。オリジナルカバーは店員が手書きで作成した原本をコピーした手作りのカバーです。

お客は書店が内容を保証したこのナゾの文庫本に信頼と期待を込めて、中身に関する情報を事前に一切把握することなく購入します。

このように本を他者に勧められて読むというスタイルは近年少しずつ見られるようになってきています。ある書店では1万円分の書籍の中身のチョイスを書店の店長が請け負うサービスを開始し、今や数ヶ月待ちとなるほどの申し込みがあるといいます。

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「本を人に選んでもらうなんて…」と感じる人も多いかと思いますが、読書好きで読みたいタイトルはすでに一通り読破してしまったという人や、逆にあまりにも読書経験がなく何から読んだらいいのか分からないという人、または人生の岐路における指針となる書物を専門的な視点で推薦してほしいというような場合など、読む本の選別を他人に委ねた方が得策になるケースというのは意外とあるものです。

「さわや書店フェザン店」ではこの文庫Xの売り上げが2ヶ月で1,600冊を超えたそうです。次第に話題となって現在では全国200店以上の書店で「文庫X」が展開されているそうで、今後もさらに拡大の一途をたどるのではないでしょうか?
ちなみに「文庫X」には以下のような特徴があります。

  • 価格は全て共通で1冊810円(税込)
  • ノンフィクション作品
  • ページ数は500頁以上
  • レシートにもタイトルは表示されない
  • すでに持っている本だった場合は返金対象になる
  • 12月にはタイトルが公表される予定

電子書籍の普及や活字離れなどから出版業界の不況は深刻な問題となっており、街の本屋さんの数も年々大きく減少していますが、直接書店に足を運んでこそ様々な本との出会いもあり、実店舗での書店の存在というのは重要です。また書店が独自のアイデアで客の裾野を広げていくことができれば出版業界にとっても未来に一筋の光が差してきます。

本という文化が消えてしまわないように、出版社や書店が血の滲むような努力を注いでいる現在、慌ただしい毎日の中で私たちもひとときだけスマホをカバンにしまって、ゆっくりと本を読むという時間の贅沢さを満喫する心のゆとりを取り戻すことが重要ではないでしょうか?

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