すみだ北斎美術館 反対や中止の危機を乗り越え11月22日オープン!!

北斎美術館に反対の声が上がっていた理由と問題点

11月22日に開館する両国(住所は正しくは亀沢)の「すみだ北斎美術館北斎美術館」。

東京スカイツリーの完成以来、東京を代表する観光地となった墨田区にまたひとつ新名所が誕生することとなりました。

しかし完成までは実は順風万般とはいかず、数多くの困難が立ちはだかっていたことをご存知でしょうか?

今回は北斎美術館のオープンの裏に隠された問題点をお伝えしたいと思います。

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住民が美術館建設を反対した5つの理由

問題点1:巨額な事業費

2013年(平成25年)、美術館建設にあたって事業主は入札にて決定する予定でした。建設費用は11億6000万円という予定額となっていたのですが、当初入札を予定していた事業者から突然辞退の申し入れがあったと言います。

事業者が入札を断念した理由は約7億3000万円程度の採算のズレ。11億円と見積もられていた建設費は、実際には複雑な外観デザインや構造とそれに伴った建築素材などの費用を加味すると18億円前後かかるとの試算になったため、どこの事業者も見切りをつけてしまいました。その結果予算は増額され、2016年に工事がどうにか着工の運びとなりました。

ちなみに平成28年度、北斎美術館の関連予算は

  • 管理運営費 9693万円
  • 建設事業費 15億9900万円
  • 周辺道路整備事業費 2億9562万円

が計上されており、合計額は19億9155万円にも上ります。実際にはすでに周辺整備費用などが投入されているため、総額としては30億円以上の経費が見込まれる巨大事業となっており、事業の必要性に疑問を抱く区民も多くいました。

問題点2:区民に恩恵の少ないハコモノ事業

区民が行政に望むものは自分たちの生活を豊かにする恩恵を受けることであるのは言うまでもありません。待機児童問題や高齢化社会対策など、行政サービスに求められる緊急性の高い深刻な課題は山積しています。

区民にとっても観光による地域振興が不要とは言いませんが、それを最優先にと望む割合は他のニーズと比べれば恐らく低いものであると言えます。

現に墨田区ではスカイツリーの開業によって観光客が増加したのは事実ですが、観光バスでの日帰りツアー客が多いことや、ツリー内の商業施設でのみショッピングをする人が大半なため周辺の商店街や宿泊施設にはほとんどその恩恵はないという問題が生じていると言われています。

見返りのないハコモノが新しく作られたところで、地元区民にメリットがないのなら、他の福祉施策などを優先してほしいと願うのは当然の感情です。

問題点3:江戸東京博物館の存在

ご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、北斎美術館の所在地から徒歩3分、距離にして約250mほどのところに「江戸東京博物館」があります。

独立した葛飾北斎の美術館を建てなくても、江戸東京博物館の中に作品を展示するなどの選択肢もあったように思われますが、そうならなかったのには理由があります。

バブル期であった平成元年にこの美術館建設が計画されて以降、平成24年度までに墨田区が展示作品にかけてきた経費の総額は16億円以上にも上ります。保管先の倉庫にもランニングコストがかかり続けているため、一刻も早く正規の十分な広さを持つ保管展示場所として、美術館を完成させる必要があったという訳です。

一度動き出した計画はあらゆる屁理屈をつけてでも強行に実行し、計画自体を見直すということはしないというのがハコモノ事業の特色です。結果的に全国には多くの負の遺産と化した公共施設が点在しています。

一説によれば江戸東京博物館は583億円の建設費用に対し、年間赤字が15%の88億円と言われています。北斎美術館にもこの計算を当てはめると毎年約5億円の赤字が生まれ続けるという予想が立ちます。

美術館は指定管理者が運営を担いますが、計上予算は1億円程度。それに基金からの補助で約2億円を上乗せしたところで5億円にはまだ2億円ほど足りない計算になります。

何かしらの予算が割り当てられていくのでしょうが、いずれにしろそれは血税から捻出されることになるでしょう。

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問題点4:美術館の正体は「天下り先」?

平成27年春に引退した山崎昇墨田区長は美術館の建設に向けて多額の税金を投入してきました。そして同じく与党推薦で当選した山本亨新墨田区長も前区長と同じ路線を突き進むかの如く、この計画の実現に攻めの姿勢を貫いています。

実は墨田区には「すみだトリフォニーホール」(コンサートホール)や「郷土文化資料館」など地域活性化の名の下にこれまで作られてきた施設が存在しますが、これらは官僚の天下り先という目的で建てられたという見方をされることがあります。

公共施設は利益を生み出すことが目的ではありませんが、大きな赤字を生み続けることが試算化されているなら計画を見直す機会がこれまでにあっても良さそうなものです。それでもなお建設を強行するのには「この施設が完成しないと困る人がいる」ということなのかと疑いの目を向けたくもなります。

問題点5:ニセモノだらけ?の北斎作品

浮世絵は世界中の著名な画家に影響を与えたことでも知られる、日本を代表するアートのひとつです。そして浮世絵画家の中でも葛飾北斎は最高峰の一人であることは周知の通りです。

展示される北斎作品や資料は、この美術館創設に賛同した世界的な北斎コレクターであるピーター・モース氏の遺族から譲り受けたり、北斎研究の第一人者の楢崎宗重氏から寄贈頂くなどして、これまでに約1,400点もの作品および資料が収集されていると言われています。

しかしこれらの収蔵品の中には多数の贋作が含まれている可能性が指摘されています。というのも、今回北斎美術館のために収集された資料や作品はこれまで展示されたことがない物が圧倒的に多く、検証されたことがない物で埋め尽くされているというのです。

作品や資料の真贋についてはいずれ専門家によって検証される時が来るでしょうが、仮に展示品に多くの贋作が紛れていたなどということにでもなったら、美術館の存在意義が問われる大きな岐路に立たされることになるでしょう。

今はまだ「まさか」で済みますが、区は最悪の事態も想定しておく必要があるでしょう。

「噂の!東京マガジン」を見た住民たちが怒り心頭

2014年6月15日TBSテレビ「噂!の東京マガジン」のコーナー「噂の現場」で、北斎美術館建設問題が取り上げられたことで、地域住民の間にもこの問題への関心が一気に高まりました。

番組の取材・放映当時は、すみだ北斎美術館新築工事等の契約案件が可決される可能性のある区議会本会議の直前だったため「このまま本当に美術館が作られてしまうのか」「江戸東京博物館があるのに無駄ではないか」「行政はもっと優先してやるべきことがあるのでは」などといった声が区議会議員に多く寄せられたそうです。

住民の思いが反映されないまま進んで行く計画に対して、止めることをしない最大会派の自民党のあり方からは旧態的な体質をうかがい知ることができます。

もちろん建設に賛成している住民も多くいます。賛成派の皆さんは、世界的に有名な浮世絵画家である北斎の絵画を見にくる海外観光客の増加や地域の活性化に希望を抱いています。江戸東京博物館やスカイツリーでは叶わなかった地元住民が感じることのできる恩恵を、今度こそは受けたいと願う気持ちもまた多くの住民の本心です。

賛成するも反対するも、11月22日すみだ北斎美術館はオープンを迎えます。主役である葛飾北斎に喜ばれるような新名所誕生となることを祈りたいと思います。


すみだ北斎美術館

【オープン】
平成28年11月22日(火)
【開館時間】
午前9時30分~午後5時30分
【開館日(営業日)】
火曜日〜日曜日
【休館日】
毎週月曜日
【常設展観覧料】
(個人)一般400円/高校生・大学生・65歳以上300円 ※中学生以下無料
(団体)一般320円/高校生・大学生・65歳以上240円 ※中学生以下無料
【住所】
東京都墨田区亀沢二丁目7番
【電話番号】
03-6658-8931
【アクセス】
・都営地下鉄大江戸線両国駅徒歩5分
・JR両国駅徒歩10分

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